幻のお米『亀の尾』の栽培に挑戦し続ける赤城さんのかけ干しのお手伝いに行ってきました🌾
南阿蘇村(阿蘇地域)の特徴として豊かな湧水と昼夜の寒暖差の大きさという条件が揃っていることから、阿蘇地域は県内でも美味しいお米ができるお米の産地として有名です。
その南阿蘇村では自然栽培(無肥料、無農薬)でお米を生産されている生産者さんがたくさんいらっしゃいますが、今回私たちがお手伝いに行った赤城さんはその中でも栽培が難しいと言われている『亀の尾』の栽培に挑戦し続けられています。
赤城さんがお米作りを始めたのは2016年の熊本地震の年。
作り始めて3年は田原坂駅前の5反ほどの田んぼで、その後は山都町で2年間、自然栽培のお米作りをされていました。
その後は縁があって、南阿蘇に移住し2年間の研修を受けて、南阿蘇でお米専業農家として独立されました。
そんな赤城さんが独立後から種を継いで栽培されているのが『亀の尾』という品種です。
現在、有名なお米の品種といえば、コシヒカリ、ササニシキ、あきたこまち、ヒノヒカリ、熊本でいえば森のくまさんなどたくさんありますが、それらの起源をたどっていくと必ずたどり着く昔から存在する品種が『旭』と『亀の尾』です。
これらの在来種のお米は栽培が難しいようですが、その中でも亀の尾はより難しいとのこと。
その亀の尾の難しさが、まず倒伏(稲が倒れること)しやすい。
今年の亀の尾は収穫が少し遅くなったそうですが、この状態でもまだ倒れていない方だとおっしゃっていました。
隣の圃場の自然栽培の山田錦(酒米・こちらも倒伏しやすい品種)と比べてもかなり倒れている印象です。
穂が垂れだした頃に強い風が吹くと、すぐに倒れるんだとか…
このような背が高くなり倒れやすい品種は、通常のように肥料を入れる栽培だと穂が太りすぎてすぐ倒れてしまうので、自然栽培で肥料っけを抑えるような栽培方法でないと厳しいようです。
次に亀の尾の栽培が難しい理由として、出穂(穂、お米の粒が出てくること)がどの品種よりも早く、スズメのご飯としての餌食になってしまうということ🐧
赤城さんはそれも自然のバランスだと考え、寛容に捉えられています😌
その栽培の難しさに加え、亀の尾は分結(植えた茎から新しい茎が生えてくること)しないと言われているので、収量も他の品種と比べると収量が少なく、南阿蘇でも亀の尾の栽培をして数年で辞めていかれる農家さんを何件も見てこられました。
赤城さんは亀の尾の栽培は今年で4年目。
ここで辞める人が多いので、ここからが挑戦だとおっしゃっていました。
こういう難しさから、別の品種にした方が楽で簡単なのも分かっているけど、愛着が湧いて意地でもいい亀の尾を作ってやろうという気になっているそうです✊
目標は、山田錦ぐらいまで立つ亀の尾を作ること!
ただ、現在の亀の尾でも、倒れても隣近所で支え合っている様子を見て、人間もこうあるべきだよなと亀の尾に重ねて考えるようになったとおっしゃっています。
また、分けつしないと言われている亀の尾ですが、倒れた稲の株元から新しい芽が生えてきているのは観察して発見したけれど、その生理もよくわかっていないと。
まだまだ分からないところがあり、簡単にはいかないからこそ面白いと楽しそうに話されていました。
そんな赤城さんの亀の尾に対する情熱を聞きながら、今日は収穫を迎えた水田の一部で水捌けが悪く収穫機械が入れない場所の刈り取りと天日干しの作業のお手伝いをしました。
ここの水田はロケーションが最高で写真が映えます。
この日は赤城さんのお米を取り扱う、自然栽培専門店ナチュラルスタイルさんが取材に来られていました。
今回、赤城さんとご一緒させていただいて感じたことは、
・お米の栽培に対する情熱
・自然栽培農家であることの誇り
・そしてなにより楽しんでいる!
ということでした。
消費者さんの命を養う農業、人間の根本を司る仕事である農業を、胸をはって自信をもって仕事する。
一番はお米の世話をしている時、昔はキツくて大変だと思っていたことが、今は楽しいと思える。
田んぼに水を張ることで地下水を守り、自然栽培で土と菌を育てる。
赤城さんは作り手の思いがお米にも伝わるとおっしゃっていますが、ここまで愛情を注がれたお米ならば多くの生産者の中から選んででも食べたくなるほどの情熱を感じました!!
亀の尾の食味はというと、現代のお米よりは繊細さにかけるけど、香りがありさっぱりしていて軽く食べることができます。
今年の亀の尾はまだ刈り取ったばかりで食べるまでにはもう少し時間がかかります。
ちなみに、昨年私も亀の尾のおにぎりを頂きましたが美味しくて5個をペロリと食べたくらい美味しいです😋
旭と比べると美味しさは劣ると聞いていて、勝手に亀の尾は美味しくないと思い込んでいたけど、全然美味しいじゃん!と食べて驚いたのはいまだにに覚えています。
私たちは来年から自家用のお米を作りたいと思っていたので、今回、稲の栽培を楽しんでいる先輩の姿を見せてもらったことでますます来年が楽しみになりました🌾
農業はきついとか稼げないとかよく話をされるけど(私の祖父も畜産+農業をしていて借金ばっかりで稼げないって言ってましたが)、こういう姿を見せていかないと次の世代もついてこないよなと感じました。
私たちも不安はありますが、それを覆すくらいの想いで夫婦で力を合わせて楽しみながら農業に取り組んでいきます😃