自然栽培のお米作り&ジャンボタニシを利用した除草管理

6月から研修を受け入れてくださっている自然栽培の大ベテラン農家の冨田さんが営む農園で、田植えと水田管理の研修を受けさせていただきました。

この日の研修のメイン作業は苗運び!

無施肥・無農薬、地力で作るお米の苗

5月に育苗箱に山土を入れてお米の種を播種し、その後は田んぼに苗箱を並べ、水の管理を経て育った稲の苗が上の写真です。

うーん、とても綺麗ですね🤩

ここの菊地市七城あたりの農家さんは、このように育苗されているようですが、標高が高く気温が低めの南阿蘇ではハウス内での育苗が主流です。

南阿蘇でのお米の育苗

私が住んでいる南阿蘇では上の写真のようにハウス内で有機米の苗を育苗しました。

村内でも自然栽培や有機でお米の苗を田んぼで育てていらっしゃる方がいます。その理由として、育苗期間中に使用する山土には栄養分が少ないので、その栄養分を補う為に田んぼで苗を育てています。

田んぼで育てた苗箱は根が張っていて、田んぼから引き剥がすのが一苦労💦包丁などで育苗箱の底の根を切って剥がしたりするのですが、その時に田んぼに足が取られて力が入らなかったりで、この作業がとても大変で重労働です。

一方、ハウス内での育苗は苗の運搬は楽ですが、毎日の水やりが欠かせません。

ハウスの方が管理しやすいかなと思えますが、私たちのような素人が管理すると、苗の生育がバラついたり、水やりのタイミングを誤ると焼けたりしちゃいます😓一長一短ですね。

ハウス育苗途中の苗

上の写真は私たちが研修の一環として育てた苗ですが、苗の先が黄色く焼けてしまったものや、生育がバラバラなのが伺えます。これでも十分、田植えはできるのですがお米だけに限らず育苗の水管理は奥が深そうです🌱

加えて、規模が大きくなるほど水やりに費やす1日の時間も長くなります。私たちは晴れの日は朝、昼、夕方と水を与えていました。その水管理が影響して普段の仕事も中断されてしまうので、他の畑仕事がなかなか進まなかったりということもあります。

話は戻りますが、冨田さんの研修では、お米の苗をその日に植え付ける予定の田んぼに運び、そのあとは田植え機の苗の補充のサポートを少しさせていただきました。

自然栽培米の田植えの様子

南阿蘇にはジャンボタニシはほとんどいないのですが、七城のあたりの田んぼには当たり前のように大量にいます。植えたばかりで柔らかい苗は、ジャンボタニシの食害に遭わない様に水を張る深さには細心の注意を払わなければいけません。

ジャンボタニシは水中でのみ食べることができるので、稲が大きくしっかり成長するまで浅水で管理します。

水の入り口はどうしても水深が深くなり酸素量も多いので、ジャンボタニシが多く集まり、水口付近の食害にあっている田んぼが多く見受けられます。

水口がジャンボタニシの食害に

通常だと椿油粕を使ってジャンボタニシを駆除するのが一般的(椿の油粕は魚に対し毒性があるようで、ジャンボタニシ駆除の目的での水田での使用は禁止されていますが、多くの農家さんがいまだに使用しているようです)で、駆除すべき害虫として認識されていますが、冨田さんはジャンボタニシが入ってきた時は、もう除草しなくていいと喜んだそうです😄

ただ、タニシの数が多すぎると雑草だけでなく稲まで食べられる可能性が高くなるので、人力でタニシを取って数をコントロールしています。その方法が今回研修の中で経験させていただいた”タニシひらい(タニシ拾い)”🐌

田植えをして数日間は集中して、その後は稲が十分な大きさに成長するまで田んぼを順繰り回ってタニシの数を減らしていきます。

だいたいのタニシは安定した畦(あぜ)に卵を産みつけるとのことから、田んぼの中心よりも周りの端っこに多くいる傾向があると冨田さんは経験から学び、田んぼの外周にとあるものを投げ入れてタニシを誘き寄せる方針に切り替えられました。

それが…

どこにでも生えているよくみる雑草ですよね?

誰もが見たことあると思います、”カラムシ”という雑草です。通称”ぽんぽん草”。

このカラムシですが、背も大きくなるし、地下茎なので根絶するのが難しいのですが、日本では江戸時代に綿が普及する前はカラムシや大麻の繊維から服を作っていたようで、現在でもカラムシからアクセサリーや服を作っていらっしゃる方がいると知ったのはつい数日前。

タニシはメロンやスイカの皮が大好物のようですが、手軽に手に入るもので好きなものがこのカラムシのようで、上の方の柔らかい新芽の部分を摘んで、こんな風に田んぼの畦近くに投げ入れます。

田植え直後に摘んで投げ入れたカラムシ
タニシが特に多い田んぼの外周に投げ込みます

すると、タニシが集まってくるので、そこをごそっと金網ですくいます!

集まりはじめたジャンボタニシ

多い時は20分でタニシの山ができたことがあるくらい集まるらしいです😱

この様に身近な物を使って栽培環境を整えていく方法は長年培われた知恵に他なりません。

そして、その知恵を私に惜しげもなく教えてくださり、さらにはブログに書いても問題ないよとおっしゃる心の広さには感服です😭

師匠の背中はずっとずっと先にいて程遠いです😅

集めたタニシ、すでにフチに卵を産みつけている

この集めたタニシですが、菊地の標高が高くタニシがいないところで自然栽培のお米作りをされている方が、わざわざもらいにいらっしゃるようです。

大きいタニシは食べることもできるとか…いいタンパク質源だし、田んぼに来るシラサギが食べてくれないんですかね🦢

さて、冨田さんに田んぼを案内していただくと、冨田さんの観察力がすごく、田んぼの珍しい生き物を発見されるのが早いこと!

田植え直前の田んぼにいるのは…

上の写真は、この日、田植え予定の田んぼにいた、どじょう!

果たして田植えの後、無事に生きているのか…

パッと見、分かりずらいけど…

お次はトノサマガエル!この辺りだと、珍しいようです。初めて見る緑と茶色の2色のカエル、とても綺麗でした🐸

ヒレが綺麗

上はヒレの模様が綺麗な、ナマズの赤ちゃん。泳ぎ方がおたまじゃくしに似ていたので見間違えやすいけど、何匹か田んぼで泳いでいるのを発見!

生きた化石といわれる…

こちらは、2億年もの間、姿形が変わっていないと言われているカブトエビ。タニシひらいをした田んぼにたくさんいました!

カブトエビは田んぼに生える雑草の新芽を食べてくれます。また田んぼ内を移動することで水が濁った状態になり光が雑草まで届かず成長を抑制し雑草対策として活躍してくれる生き物です。

生態系豊かに思える田んぼでも、みなさんがおっしゃるのは、昔はもっと田んぼにいろんな生き物がいたと。

機械や肥料・農薬が使われるようになる以前の日本の稲作や田んぼは、どんな感じだったのかタイムスリップをしてのぞいてみたいです👀

ご馳走になった昼食

そしてこの日は、冨田さんの自然栽培小麦で作った中華麺、自然栽培黒千石の納豆、おにぎりと、自家製野菜の副菜や漬物をいただき、これまた贅沢なお昼ご飯をご馳走になりました。

初めて見る生き物観察を楽しみながらの有意義な研修をありがとうございました✨

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